日足紋 日は太陽を象(かた)どったもので、古来から崇拝の意味で用いられた。日の丸紋の光芒を模様化したものが日足紋で、その光芒の数によって六日足、十日足という。なお、日の丸紋は安政元年7月5日に幕府が日本国の船印と定め、明治3年白地に日の丸を国旗とした。

月紋
 形による種類は多く、三日月、八日月、半月、満月、朧月などがあり、さらに雲、流水などと組み合わせて用いる。


九曜紋
 九曜とは古代インドの星占いに使われた星で、日曜、月曜、火曜、水曜、木曜、金曜、土曜、羅ゴ星、計都(げつ)星の九曜を指し、これを仏に例えたものが九曜曼荼羅だ。九曜紋は1個の円形を中心に、周囲に小円8個を接触、または離して配列したものの他、方形の配列(菱九曜)などがある。なお、九曜紋に似た形状の七曜紋があるが、これは中国天文学七曜からとったもので北斗星紋ともいう。

藤紋
 華と葉を円形に文様化したもので、花を下垂れしたものが下藤丸、上向きが上藤丸という。また花弁が密集し重なっているのを内藤藤、間隔のあるのを婆羅藤(まばらふじ)という。その他、蔓(ツル)のある蔓藤、巴型の藤巴などがる。


竜胆(りんどう) 笹に似た植物であるため、この紋を笹竜胆ともいう。この紋は3花5葉を基本とするが、2葉、3葉もあり、円状の竜胆車、蔓のある蔓竜胆がある。

梅紋 写実的な梅花紋と花弁を図案化した梅鉢紋とがあり、梅花紋には花の数と配列によって単梅、八重梅、横実梅がある。梅鉢紋には剣梅鉢と無剣梅鉢がある。
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尖り十六日足 月に星 九曜 一つ藤巴 竜胆車 向う梅

牡丹紋 牡丹の花や枝葉を象ったもので、葉舗牡丹、枝牡丹、杏葉牡丹、抱牡丹、五葉牡丹などがある。花だけのものには向牡丹、大割牡丹、裏牡丹、捻牡丹、葉だけは葉牡丹という。

桔梗紋 
五弁の花びらを持つ桔梗を象ったもので、1輪を普通とするが数によって三桔梗、五桔梗、また複弁は二重桔梗、八重桔梗といい、変形には割桔梗、剣桔梗、五角桔梗、巴桔梗などがある。

酢漿草(かたばみ) 三葉片が普通だが二葉片とか四葉片以上のものもあるし、剣や蔓を組み合わせた剣酢漿草、蔓酢漿草、さらに棯(ナツメの一種)酢漿草などがある。

沢瀉(おもだか) 7.8月ごろ咲く白色の花。くわいに似た小さい葉の植物を象ったもので、葉の数によって一沢瀉から九沢瀉、形状によっては抱沢瀉、巴沢瀉などがある。

橘紋 葉は5葉が普通で果実の数によって一橘より五橘がある、その図形によって向橋、対橋、橘茗荷、五橘車、尻合三橘などがある。

梶紋 楮(こうぞ)に似て葉は盾形で剛い毛が生えている。この紋は5枚葉を主とし、刻みの深いものを平戸梶、形状により梶菱、抱菱、梶葉車、三割梶などがある。
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津軽牡丹 土岐桔梗 丸に酢漿草 水に沢瀉 丸に橘 丸に梶

茗荷紋 1個からなるものを一茗荷といい、2個には対茗荷、抱茗荷、3個に三盛茗荷、三寄茗荷、三追茗荷、茗荷巴がある。

柊紋 切れ込みの先のとがった葉が特徴の木。その葉を象って1葉を一柊、2葉を並柊、抱柊、違柊、3葉を三柊、三追柊、柊巴、輪状を柊丸と名付けている。

松紋 老松を象ったものが主だが、幼松を用いたものを若松紋という。老松には株数によって二本松、五本松、さらに二階松、三階松がある。また、松葉の組み合わせによる松葉菱、松葉巴などがあり、松かさを使った松毬紋がある。

竹・笹の葉紋 葉と幹との組み合わせを竹紋、笹の葉だけを笹紋という。竹紋には幹を円状にした竹丸というのがあり、笹の葉紋には葉の数が25枚まであり、二十五枚笹と呼んでいる。また、組み合わせて竹に雀、竹に虎、笹に雪もある。

稲紋 穂のある稲を束ね円形にしたものを稲丸といい、形状で抱稲、違稲 対稲がある。

杉紋 一本杉から五本杉があり、配列で割杉、杉巴、杉菱と呼ぶ。
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抱き茗荷 抱き柊 三階松 糸輪に頭合せ十枚笹 抱き稲 丸に一本杉

柏紋 普通、葉を用いているが、その他実付柏、枝柏、蔓柏がある。葉の数によって二葉に抱柏、違柏、三葉に三枚立柏、柏巴、追柏、四葉に四蔓柏、輪違柏、輪状に五葉柏、六葉柏など柏車があり、図案化したものに結柏もある。

蔦紋 葉の形のうち、切れ込みのないものと鋸状のものとがあり、後者を鬼蔦という。その他葉筋をとった大割蔦、図形化した蔦菱、蔦花、浮線蔦がある。

丁子(ちょうじ) 南方特産の植物で、果実は長楕円形。その先に残った蔓片が熟すると赤褐色になる。丁子の数で九丁子と呼んだり、組み合わせて丁子亀甲とか抱丁子がある。

銀杏紋 1葉から16葉まであり、形状は菱剣、輪状、巴、対などがある。

石竹
(からなでしこ) 歯牙状の花弁が特徴で、花の先端が複雑に深く裂けたものを瞿麦(やまとなでしこ)紋、細く裂けたものを石竹紋。
花名は石竹(せきいちく)とも唐撫子ともいう。

七草紋 芹、薺(なずな=ぺんぺん草)、御形(ごぎょう)といったいわゆる春の七草を象った紋。
きもの風土記
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丁子
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石竹
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三つ柏 丸に丁子 丸に剣三つ銀杏 石竹

桜紋 花弁の幅の狭いものを山桜と区分けし、一重から八重、輪状の組み合わせ九曜桜などがある。

楓紋 葉と枝とから成り、葉だけのものを一楓、二楓といい、形状で抱楓、杏葉楓などがある。

杜若(かきつばた) 葉と花とを図案化したもので、枝杜若は茎と花で1枝から3花まで。図形では杜若丸、杜若菱、抱杜若などその他がある。

鶴紋 舞鶴、降鶴、立鶴などその姿勢によって区別できるほか、羽翼を広げた鶴丸、鶴菱などもある。

雁紋 形状によって飛雁、遠雁、結雁と呼び、これを2羽以上組み合わせて二雁菱、追遠雁、尻合結雁、三飛遠雁、五雁車などとする。

鷹羽紋 配列と羽の数で一本鷹羽、遠鷹羽、抱鷹羽丸、七本鷹羽車がある。その他鷹羽団扇、鷹羽蝶、鷹羽井桁、鷹羽蛇の目などもある。


蝶紋 飛蝶、止蝶(揚羽蝶)、蝶丸(輪蝶)の3種で止蝶で2匹相対しているのを対揚羽蝶、3匹を三連蝶といい、輪蝶には上下と左右と向かい合いがある。また蝶の斑紋が比較的大きいのを鎧蝶といい、斑紋だけを紋章にしたものを蝶屋と呼ぶ。
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桜井桜 丸に立ち杜若 鶴丸 丸に二つ雁金 浅野鷹の羽 丸に揚羽蝶

きもの風土記
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折敷
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輪宝
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打板
幣紋 神前に用いる幣足を紋章化したもので、一幣、違幣、三幣の他、榊や松、雲との組み合わせによる榊に幣、幣に松、雲に立幣などがある。

瓶子(へいし) 首の長い瓶で神前に供える御酒徳利を象ったもの。数で一瓶子、二瓶子の他、組み合わせで笹に瓶子、蝶丸と瓶子もある。

折敷(おしき)紋 俗に三方ともいう桧の片木を押し曲げて作った角盆を上から見た形状で3文字の組み合わせにより角三文字、草木形三文字などがある。

久留子(十字架)紋 特殊な紋章であったことから氏の名をとって中川久留子、内田久留子があり矢筈十文字を含めて代表的である。なお、キリスト教弾圧によって擬装した信者が祇園神社の護符を象って紋章にしたのが祇園守紋。その他筒巻物を十字に擬した筒祇園守、結無祇園守、銀杏祇園守がある。

輪宝紋 仏具の輪宝を象ったもの。車輪状の形が主で、その中心から剣を外に向って放射、その数は少なくて3個、多くて8個であり、その数で三剣輪宝、八剣輪宝、菊輪宝と呼ぶ。

打板(ちょうはん)紋 禅宗寺の器具に用いた雲形の青銅彫刻の打板を象ったもの。その形状で板菱、尻合三打板、頭合三打板の種類がある。
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丸に幣 房付き瓶子 折敷に三文字 久留子紋 輪宝紋 打板紋

弓矢・矢羽・矢筈紋 弓紋には弓張りと矢をつがえたものとがあるが、弓張には戸小二張弓、堅二張弓、違弓張、五張弓車とがある。矢紋・矢羽紋には1矢から8矢までの数と、その組み合わせ形状で二違矢、三矢、矢扇、八矢車、折矢羽などがあり、また鏃(やじり)、鏑矢(かぶらや)まで用いた一鏑矢、違鏑矢、三違矢、六鏃などもある。
なお、矢を弦につがえる部分、矢羽の後方を矢筈というが、ほとんど矢羽と同形である矢筈紋にはその配列で竪矢筈、矢筈車、違矢筈、矢筈十文字、さらに数によって一矢筈、三矢筈などがある。

蛇目紋(弦巻紋=つるまき) 甲冑姿の武士の腰にある弦巻が蛇の目のように見えるところからこの名称があるが、その個数によって一蛇の目、三蛇の目、七蛇の目、九曜蛇の目といい、また剣を配したものを剣蛇の目と呼ぶ。

軍配団扇紋 団扇(うちわ)紋には軍配(唐団扇=武将)、日本団扇(竹骨)、羽団扇(天狗)の3種がある。軍配紋はその数と配列によって三軍配、八軍配(車)とがあり、松竹梅または鶴亀などを描いたものもある。一方、団扇紋にはその骨の数と団扇の本数配列で五本骨、七本骨、三団扇、団扇梅鉢などがある。
羽団扇は俗に天狗の持つ羽の団扇で、その羽の数で七枚羽団扇、九枚羽団扇とがある。羽団扇に似たもので器の塵をはらう羽帚(はぼうき)紋がある。その配列で違羽箒、対羽箒、抱羽箒がある。

鍬形紋 兜の飾りに用いられた鍬(くわ)形の紋章で、その数で一鍬形、三組鍬形、三違鍬形、三寄鍬形と区別する。

総角(あげまき) 鎧などの紐の結び方の名からきたもので、単一の総角紋と箱型で囲んだものとがある。
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丸に違い矢 蛇の目 軍配団扇 鍬形 総角紋

杏葉(ぎょうよう) 杏(あんず)の葉を象ったもので、中国の馬の鞍に用いた装飾が伝来し家紋となった。2個が普通で抱杏葉、対杏葉の他、鱗状の葉で立花杏葉、壬生杏葉、鍋島杏葉、高野杏葉と差別している。

(くつわ) 馬の口に含ませる金具で普通丸に十字紋を配しているが、その変形によって卍轡、角轡、重角轡、菱轡と区別し、また組み合わせによる結轡などがある。

(いかだ) 花と組み合わせた花筏紋はその優美な形状で愛用され、その種類は筏の数(5、6本)と桜、山咲花など花を配して区別している。(絵面は前頁に掲載)

金輪紋 五徳(鉄瓶を乗せる火鉢の道具)の全体を象ったものを五徳紋というが、足を除く鉄輪だけのものを金輪紋という。輪違紋と似ているが、線の太いのに対し金輪紋は細い線で区別している。その配列組み合わせにより三金輪、波三金輪、四金輪、五金輪がある。

鐶紋(かんもん) タンスの引き出しなどに用いた鐶の文様で、外縁の数で三唐鐶、四鐶、外向五鐶、鐶桜などがある。なお、鐶紋と木瓜紋(もくこうもん)は似通っている。

鈴紋 神楽鈴を象ったもので、小鈴に閉束、小鈴に榊を組み合わせたものや鈴丸がある。

額紋 
神社仏閣の額で縦額、横額のうち紋章では縦額をとり、全形の額面を表したものと、二八の文字を入れたものとがある。
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杏葉紋 轡紋 五徳紋 五つ鐶紋