きもの風土記

  
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日本の最大湖・琵琶より発する軟質の良水を利用した水撚八丁撚糸にこだわり、一越や古代ちりめんといった平織を中心に、日本でも珠玉の高級ちりめんを織り成す長浜産地。
その工程を簡単に説明しておこう。 
まずカセになっている原糸をボビンに巻き取る「糸繰り」を行い、ここから緯糸、縦糸に分けられる。次いで各種織物の用途におうじて8−20本の生糸を「合絲」する。そして浜ちりめんの最大の特長となるシボを出すため、各種の「撚糸加工」をほどこす。燃糸にも水式による1bあたり3000〜4000回も撚る八丁撚糸、乾式八丁より弱い撚りのイタリー撚糸、合絲をしながら糸を撚る合撚などがある。
各撚糸加工が終った緯糸は、「管巻」といってタグに巻き取られる。
いよいよここから機にかけられるが、説明してきた工程の中には糸の「節取り」とか、強撚をかけた糸には糸の持つセリシンを活かす「緯煮(ぬきたき)」、あるいは「乾燥」といった工程がまだあるが、これらは各機業場の特徴を出すためのノウハウとなっている。
これらの技術が、ちりめん界の最高峰として、振袖、訪問着、黒留袖などの、いわゆるフォーマルにはかかせない織物となっている所以だ。

   
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永年にわたって長浜商工のリーダー役をはたしてきた浜ちりめんであったが、昭和47年の185万反をピークに、現在は20万反と、生産高においては10分の1に激減している。しかし時代を引きついだ後継者たちは、多品種小ロットに活路を見いだし、「市場ニーズに対応した動きを」と、挑戦の力を緩めることはない。例えば・・。培ってきた技術を殺すことなく脱フォーマルをと、浜紬などをメインに夏物、男物などに取り組む。各機業の中でも若い人たちが集まり、様々な意見交換をしながら次代を見つめている。かといって世界最高級のちりめんを自負する長浜産地が、その高品質を捨てるのではない。最大の特長である水撚り撚糸にますます磨きをかけ、地元の地下水を使った「長浜水燃ちりめん」の証紙をを一越や古代に添付し、ブランド性をより高めていくなど、その前進力に油断はない。今後は、各機業のそれぞれの切磋琢磨が、ますます個々の特化を進めていくであろう。

  
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長浜では、ちりめんの他にビロードが生産されているが、現在この地で100%を生産しているとはいうものの、3業者(長浜市内)しか存在しないという。
天鵞絨と書いてビロードと読むこの織物は、スペイン語のVellude(ビロード)、ポルトガル語のVelvet(ベルベット)が語源といわれている。
1543年種子島に鉄砲が伝来したとき、それを包んだ布きれがビロードであったと伝えられており、それから約15年後の慶安年間に入って、京都でビロードが織り始められ、長浜に伝播されたのは、江戸中期であった。
浜ビロードは、基本的には絹をベースにしており、その織り方は、経糸の一部に針金(輪奈)を織り込み、その天をカットする輪奈と、針金を引き抜くだけの輪奈天とがある。