小千谷紬

縮布の技術をを原点として生まれたこの地の紬は、真綿手紡糸を原料とした正絹紬だ。平紬と縮紬の2種類があるが、そのいずれもが真綿の織りなす風合いを見事にかもしだしている。そんな伝統の紬の中でも特に平紬を中心に個性を優先させた物づくりに徹しているのが特徴だ。愛する紬に自分をぶつける、その事が素朴の中にも高級感をただよわせている。

越後上布
この地に産する麻を素材とするのは縮布と同じで、その生産技法も殆ど変わらない。はっきりとした違いは、手紡糸を用い、経糸、緯糸共に平糸(撚りをかけない糸)だということだ。盛夏用きもの地で、重量が軽いほど高級品とされている。通常は500c内外。

諸 紙 布
小千谷市街地から西方へ、一山越えた小国町で作られる諸紙布は、文字通り、紙でできた布だがそこにはなみなみならぬ創意工夫がある。簡単にいえば、吟味された和紙を糸状に裂き、柿シブで染めるだけのことである。しかしこれを1年以上寝かせなければならない。このあたりにノウハウがありそうだ。
それはともかく、織りあがった布には、シブに浸ける回数によっての紙糸の濃淡がシンプルに表現され、背伸びした飾りでなく偽りのない美しさに仕上がっている。大半が帯だが染材として使用する柿シブが、格好の補強材となり、水にも強く麻以上の強靭さを持っているという。その他ぜんまい織りや生紬にぜんまいを織りこんだ郷土色豊かな逸品物も手がけている。

きもの風土記 きもの風土記 きもの風土記
小千谷紬 柿渋に浸けた和紙糸 諸紙布の帯

裂 織 り
着古したきもの地を糸状に裂いて織る、いわゆる古き時代の甦生技法だ。その技法を現在に活かしているのだが、驚いたことに裂織素材としてわざわざ新しく紬を織る。しかも最終製品の柄を想定して素材紬を織らなければならない。平織をメインにすくい織も加えているが、1反に対し素材紬が4〜5反いるのだという。一方、原糸も絹だけでなくぜんまいや栗繭を使用するなど、創意工夫があちこちに見られる。その製品は平面的だが、緯糸の密度が高く作品的な要素をかもしだしている。いずれにせよ、二重三重の手間がかかる大変な織物だ。

きもの風土記 きもの風土記
糸状に裂かれた紬 裂織り
 
片 貝 布

宝暦元年(1751)には信濃川流域で綿花が栽培され、周辺(片貝地区)に紺屋が7、8軒あったという。以来200有余年、寒冷地での藍温保護のために湯煎を開発したり、北海道産の藍にこだわりを持つなど、時々の難問を克服し、越後正藍染を保持するとともに片貝布として今風に完成させている。
もともと暖簾や半纏、旗などを主体に、いわゆる印(しるし)屋として紺屋を営んでいたのが、日本の民芸運動をきっかけに木綿織やインテリアにも進出。現在は糸染から製品までを手がけ、その製作コンセプトは「面白い面積に面白い染めができれば」ということらしい。また、型べんがらや松煙染もこなしている。

きもの風土記