きもの風土記

「いかぐ糸」のふる里大音の集落、滋賀県伊香郡木之本町伊香具は日本最古の羽衣伝説を持つ余呉湖と古戦場賎ヶ岳の南に存し、近くには木之本宿として栄えた北国街道を要している。そして入り口には集落を守るかのように鳥居を構える伊香具神社がある。多くの遺構と伝承を伝えるこの地を訪れたのは、梅雨前線真っ只中の6月下旬であった。

   
湖北の代名詞のような余呉湖には、日本最古の羽衣伝説なるものがある。桐畑太夫なる男が松にかけてあった羽衣を隠してしまう。何も知らない女性は太夫に「私は天上に住むもの、羽衣を無くして帰れません」。太夫は天女を家に連れ帰り夫婦になり、元気な男の子をさずかる。ある日天女は、無くしたはずの羽衣をわらの下から見つけ、夫と子供に心を残しながらも天上に帰ってしまう。というような民話なのだが、この子供が後の菅原道真公だという。

   
天正11年3月(1583)、柴田勝家は、雪を割って柳ヶ瀬に入り、玄蕃尾城に本陣を置く。迎え撃つ羽柴秀吉は、余呉湖を囲む山々に連珠の如き砦を築き、自らも田上山の本陣にて指揮をとる。まんじりともせず対峙する勝家4万、秀吉6万の大軍勢。賎ヶ岳の頂から陣頭指揮をとる秀吉、七本槍の武勲により湖が血潮で真っ赤に染まった。

   
天女を妻にした伊香刀美(いかとみ)という人物の物語が残されており、ここにも天女伝説がある。祭神伊香津臣命(いかつおみ)がこの人物であり、後に伊香地方に栄えた豪族「伊香連(いかごのむらじ)」の先祖だと伝えられている。
もう1つの伝えごと絹糸の話は、後述しよう。

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羽衣掛けの柳
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雨の余呉湖 賎ヶ岳

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道が光る北国街道 伊香具神社