石川県の伝統工芸品である加賀友禅の需要低迷と担い手不足に歯止めを掛けようと、友禅の伝統的な技法を用いて洋服を製作し販売する試みが始まっている。着物や伝統工芸の枠にとらわれない現代的な商品開発で、新たな需要を創出する狙いだ。ブランド名は「COUME(コウメ)」。
「着物をリメイクしたものとは違う。洋服のために加賀友禅の技法で描かれた図案です」。そう強調するのは、企画デザインを担う金沢美術工芸大の村山祐子准教授(47)。同大工芸科染織専攻を卒業し、東京の文化服装学院で服作りを学んだ。イタリア・ミラノでファッションデザイナーとして活動後、6年前から母校の大学院ファッションデザインコースで教えている。金沢に根付いた活動をしたいと、2014年から加賀友禅を用いた洋装の研究とブランド構築を始めた。

 加賀友禅作家との協業
 
試行錯誤の連続
当初、加賀友禅作家との協業による商品化は試行錯誤の連続だった。
生地は友禅に多い絹の反物を用いたが、洋装向けの配色や図柄は、作家が普段扱う着物と異なるため、パターンと仮縫いサンプルを見せて粘り強く説明した。着物特有の配色との違いから、地染師が首をかしげることもあったが、完成した洋服の色合いを見ると納得したという。
「まず洋服の構成を理解してもらい、その上で効果的な図案や色彩をやりとりしながら丁寧に進めていった」と振り返る。
17年3月には金沢の魅力を発信する東京・銀座の「dining gallery 銀座の金沢」での展示会に大輪のバラや幾何学模様などを配したワンピースやボレロ、チュニックなどを出品した。背中にリボンを配するなど、可愛いらしさを備えながら、どこか着物らしさを感じさせる洋服の数々。「これ『かわいい』から入り、『加賀友禅なんだ』と思われる服を目指しています」と村山さん。イタリアでの経験も生かして、11月下旬には、ミラノで開催される展示会に参加する予定という。
ブランド名にあるUMEは加賀藩前田家の家紋である梅鉢紋から。COは英語で「共同」「協力」などを意味する接頭語。加賀友禅は、作家だけでなく、生地屋、糊屋、地染め屋など様々な人たちの技術と協力があってこそ成り立っているという思いを込めたという。村山さんは「伝統ある加賀友禅と洋服の融合は、段階的に歩み寄って成立するもので、急には変えられないが、続けていくことに意味がある。多くの人に着てもらうことで、作家さんの活躍の場が増え、人材育成のお手伝いもできると思う。ビジネスとして持続可能な仕組み作りを目指したい」と語る。加賀友禅