京都府の北部で、廃校が繊維や野菜の工場など産業振興の拠点に変わりつつある。京阪神とつながる高速道路の全線開通を機に、地元自治体が利活用が進んでいなかった廃校への企業誘致に力を入れているためだ。「丹後ちりめん」など既存産業を生かしながら、新たな雇用の場につなげる。
一つは、企業としてスタジオアリスが縫製工場を建て、二つは、行政として京丹後市が養蚕の研究拠点として整備し、活用している。
京都府北部の7市町の人口は3月時点で28万人と、10年前に比べ1割近く減少した。人口減に歯止めを掛けるためにも、地域の雇用を支える産業の育成は急務だ。

  スタジオアリス
 の子会社が縫製工場
JR京都駅からJR山陰線と京都丹後鉄道の特急で2時間半余りの京都府京丹後市の旧網野町。2012年閉校の旧三津小学校が地元雇用の約20人が働く縫製工場となった。子ども向け写真館を展開するスタジオアリスの衣装製造子会社の豊匠(京都市)が運営する。
旧教室に作業用の机を置き、子ども着物を縫製する。ミシンもあるが、研修中の従業員は手縫いを多くして手順を覚える。府北部には縫製工場があり、従業員に経験者もいる。
主力の中国工場の人件費などの上昇に対応し、京丹後市に工場を設けた。中国からの生産移管で、3年後の生産能力は現在の4倍以上の年4万~4万5000着に引き上げる計画だ。
「サンプルをもとに実際に着物をつくるかどうか、迅速に判断できる」(豊匠)利点もある。市からの賃料は月40万円程度。同社の要望や新たな雇用の場としての期待から、当初予定の半分になったという。

  京丹後市が
 人工飼料で蚕を飼育
京丹後市は2016年、京都工芸繊維大学(京都市)と連携し、養蚕の研究拠点「新シルク産業創造館」を旧溝谷小学校(京都府京丹後市弥栄町溝谷)に整備した。
今年1月、人工飼料で蚕を20万頭育てることに成功。同大学の遺伝子組み換え技術を生かし、再生医療の培地や化粧品原料となる物質のみの糸を吐く蚕の大量飼育を目指す。
将来、ヘルスケアや医療分野での実用化を目指しており、市は「成功すれば、関連企業をさらに集めることも可能」(商工振興課)とみる。