インドの北東部アッサム州のみに生息するヤママユガ科のムガサンシルクとタッサーシルクを使用して商品化した「野蚕糸ゴールデンムンガシルク」を展開している和田野蚕糸工房(静岡市)は、不況で高額品の売れ行きが鈍る中、両繭糸使いのきもの、帯、ショール、毛布、小物などに商品化した製品が高い人気を集めている。

 糸の持つ魅力
 
最大限に
きもの風土記
ムガサンルクは、ヤママユガ科の絹糸虫が吐く糸で、淡い褐色の繭をつくり、繰糸は後は美しい黄金色になるため「ゴールデンムンガ」と呼称されてきた。バナナや麦わらの灰汁を入れて煮繭を行い繰糸することと、全行程をを現地のみで行なうため、生産量も限られ、希少性の高さを保っている。
一方、インドにおいて、日本における西陣の最高級織物に匹敵するのがタッサーシルクだ。天然の繭としては最高級であり、王族やマハラジャしか着用できなかった絹織物とされている。和田野蚕糸工房の和田代表は、インドのパーナラシで織られているシルクサリーと亜細亜布に魅せられ、繭糸のルーツをたどる目的でインドを訪問、10年かけてそれぞれの糸の持つ魅力を最大限に生かす生地開発を行い、現地の職人と機織の研究も進め、きもの巾の織機も完成させた。
商品化に協力した日本野蚕学会、国際野蚕学会の会長で東京農業大学客員教授の赤井弘氏は、両繭使いの特徴について、「特異な多孔性構造から、家蚕糸に比べ保湿性やや保温性に優れ、その肌触りの良さ、皮膚への優しさ、さらに抗菌作用やUVカットの機能に優れ、アトピー性皮膚炎やアレルギー体質の方によい」と指摘している。
同社では、07年に皇太子妃殿下、09年に天皇陛下へ、「野蚕糸ムガ蚕繭絹毛布」を献上し、消費者へのブランド浸透力を高めている。また、新小石丸、偏平糸と野蚕糸とのコラボレーションで不思議な布を織り上げたほか、光によって色が変化する美しい布を現代によみがえらせた古代紙繭布など、差別化された、オリジナル性の高いものづくりの発信が、注目をあびている。

 ムガサンとタッサーと
 
絹糸虫
きもの風土記" きもの風土記
ムガサンシルク 絹糸虫
きもの風土記 きもの風土記
タッサーシルク タッサーのコクーン(繭)