養蚕農家数の減少や深刻化する後継者不足の中、今や希少性をうたうようになった「純国産絹製品」。日本の繭、生糸、織り、染め、加工にいたるまですべて純国産を訴求するで消費者に生産履歴を明示した商品を届けようと業界では「純国産絹マーク」(写真)の使用許諾者が増えている。現在メーカー、卸、小売店ら66社が同マークを貼り付け、つくり手の顔が見える絹製品をアピールする。

  
国産繭の危機 抜本的見直しに
きもの風土記
日本絹業協会によると、養蚕農家数のピークは1929年の221万戸、繭生産量は1930年の40万d、器械製糸工場数は1951年に288工場あった。ところが、2008年には養蚕農家数1.021戸、繭生産量382d、器械製糸工場数2工場に激減。輸入物(生糸、製品など)にも押され、養蚕農家数、繭生産量ともこの5年間ではほぼ半減し、国内で消費される絹製品全体のうち国産繭が原料となっている比率は0.9%。
国産繭が1割に満たない現状に危機感を募らせた農水省・大日本蚕糸会は、従来のやり方を抜本的に見直し、日本の蚕糸・絹業界の再生に乗り出した。その1つが養蚕農家、製糸業、絹織物業、流通、小売業者が連携する「蚕糸・絹業提携システム」。同会に「蚕糸・絹業提携支援緊急対策事業」として、2008年4月から助成金の交付がスタートした。
現在、2009年度の承認3グループを含めた9グループが商品化を進めながら「純国産絹」の展示・紹介にも力を入れる。3月に高島屋大阪店で開催された春の「きものフェスタ」に「日本の絹展」(日本絹業協会主催)を併催。会場では繭から糸づくりの実演など体験イベントを実施している。
また同協会は5月31日〜6月3日、「純国産絹製品企画展」(写真)を京都産業会館で初めて開催した。同展には「蚕糸・絹業提携グループ」と「純国産絹マーク」の使用許諾者の中から和洋装の計18社がが出展、希少性と生産履歴を、明示した「純国産絹マーク」を紹介した。

  
プロではなく 消費者目線で親切に
きものに生産履歴を明示するようになったのは、食料品の産地偽装などが社会問題化してから一層強まってきたいえる。素材から製品までの生産過程が複雑で、分業で生産されることが多いため「どこでつくられたのか」を明確にすることによって「消費者に親切になる」と同時に「安心して購入できる」ことは前進と認める。
きものにおいては、素材の持つ要素は重い。だからこそ1部の小売店からは「純国産絹とそうでない絹との違いがあまり分からない」「違いを明確に出せるかどうかがポイント」となるという声が出る。消費者に、例えば発色性の良さ、風合いの良さなどを上げ、その違いを示すこと、また色、柄、デザインセンス、価格などにも消費者の思いが入るきもののこと、すべてを含めてなおいっそうの親切が求められるのでは?。