きもの業界で「プレタ」を前面に出した商品企画やブランド物で、正絹のプレタきものを発表するメーカーが出てきている。価格やスタイリング面などで消費者により分かりやすい形で提供しようというのがポイントだ。消費者にとっては「購入したその場で切られる」ことから、今後もこうした“プレタ”を意識した正絹の商品企画が増えると見られる。

 正絹のプレタ化
 
リサイクルブームがきっかけ
きもの風土記
きものは基本的に反物で注文を受け、お客1人ひとりの寸法を測って仕立てるのが通常のパターン。1点1点の色柄をお客の好みで誂え受注方式もある。
しかし、20年前のニューきものブームを機にプレタきものが流行し、業界では1時期プレタ化の波が押し寄せた。そのほとんどは合繊素材をプレタにしたもので、それは現在も変わっていない。プレタといえば合繊というのが業界の常識でもある。
ところが、その後ゆかたの主流が原反売りからプレタに変わり、今や1部を除いてほとんどがプレタ。メーカーらが意匠の面で企業努力したという側面もあるが、プレヤ化を進めたことによって若い消費者に受け入れられたともいえる。
最近のプレタの動きは合繊だけでなく、正絹でも出てきている点が以前とは異なる。合繊では既に多くのメーカーや卸が店頭商材の1つとして開発しており、合繊のプレタ化は「今後もますます増える」との見方が多い。
正絹のプレタ化に関しては、昨今のアンティークきものやリサイクルきものブームが背景にある。価格が安いという理由も大きいが、同時に「買ったその場で着られる」点で受け入れられているのが大だ。原反を購入した後に仕立てるのでは時間がかかるため、「すぐ着たい」という消費者を逃してしまう。

 2メーカー 紹介
京都丸紅は正絹のプレタ小紋で「セイコ・マツダ」「押切もえ」など4つのブランドを発表している。同社が正絹プレタ小紋を提案するのは、振袖の後に着るきものが少ないという声があることや店頭商材の1つとして展開している。
一方、市田はブランド物ではないが「プレタ展」という企画を提案している。モデルが着用したきものや、仕立てた後キャンセルになったものなどの「わけあり商品」を打ち出したところ、昨年後半から毎月50点ペースで売れ、好評を得たことから、今後も続けていく予定。
その他、京朋の合繊プレタ「エトワ」、アンドウの綿のプレタ「きものカフェ」などがある。