盛夏の装いで、薄く透けるきもの「薄物(うすもの)」が注目されている。肌を見せずに、素材や色柄で涼感を演出する。流行に敏感な女性たちが、カジュアルなゆかたを「卒業」して、格調高いおしゃれ着として楽しみ始めている。
「薄物」の代表的なものには、芭蕉布、夏久米島、宮古上布、小千谷縮布、越後上布、夏大島などがある。

  
30〜40代の女性 薄物ファンがブーム
東京・銀座の呉服店「銀座もとじ」では、薄物を求める30〜40代の女性が増えている。ブームが続くゆかたは本来カジュアルな装いのため、レストランでの会食や観劇などに着ていくことのできる和服として薄物が注目されているからだ。
伝統的に薄物は7〜8月に着る。薄く透ける絹織物の「絽」や「紗」、麻などを裏地をつけずに仕立ててる。人気を反映して、日本橋高島屋(東京)では今年、例年より1か月早い4月初めから販売を始め、品ぞろえも昨年の2倍に増やした。
雑誌「美しいキモノ」でも30〜40代の読者が増えており、編集長の富川匡子さんは、「冠婚葬祭などで「『着せられる』ものから、自分のおしゃれのために吟味して着るようになってきた」と変化を指摘する。
シルエットやデザインが多彩なドレスと違い、きものの形は1つ。その代り素材や色、文様などで季節感を表現いる。夏は水をモチーフにした模様や、「雪の結晶を表した「雪輪」という文様で涼感を出したり、秋草の柄で涼しさを表したり。
きものに関する著書が多数ある染織研究家の木村孝さん(93)は、「きもの文化は、日本人にとって大切な教養。夏ならではの薄物で涼しさを演出できれば、女っぷりを上げられます」と話す。

  和食の世界遺産登録 
和服への関心高まる
東京・銀座の歌舞伎座再開場、和食の世界遺産登録で日本の伝統文化が注目され、その影響で和服への関心の高まっている。
最新モードを紹介するファッション誌もきものを取り上げる。「フィガロジャポン」
編集長の西村緑さんは、「きものパーティに出席すると洋服より目立つ。おしゃれ感度の高い女性は、流行に左右される洋服より、何十年と着られるきものに価値を見出し始めている。薄物は季節限定なので、おしゃれ心一層くすぐるのでしょう」と話す。
スタイリストの原由美子さんはきもののコーディネートについて「白系統だけでなく、濃い色でも襦袢の白が透けて涼しげに見える。顔映りののいい色を選び、帯や帯締めと色や柄の組み合わせを楽しみたい。バッグは海外ブランドの小ぶりで持ち手の短いものを持つと、現代の空間にマッチします」と助言する。