西陣織工業組合(渡辺隆夫理事長)が、高齢化や和装離れなどから減少の一途をたどる職人不足の問題を改善させるための「人材バンク」事業に乗り出す。売り上げが減り、苦戦の続く和装業界だが、一方で優れた技術をもつ職人を必要としている企業も少なくない。そうした“ミスマッチ”を防ぐのが狙いで、国の許可が得られれば4月にスタートさせる予定だ。

  
ハローワークでは 専門性職人の仕事見つけにくい
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西陣織の製作は、図案や設計図にあたる「紋意匠図」作り、経糸を上下させる紋紙に穴を空ける「紋彫(もんほり)」「糸繰(いとくり)」「製織」などと大きく区切れば、12程度の工程に分かれ、職人もそれぞれに分業化されている。それだけに各職人は高い専門性をもっているが、技術が細分化されすぎているため、一度、職を失うと通常の公共職業安定所(ハローワーク)では、適した仕事を探すのが難しいのが実情だ。
同組合が考えるのは、こうした専門性の高い職人たちの情報をデータベース化する取り組みだ。人材の登録や紹介の業務については国の許可が必要で、同組合は手続きを進めている。働き手と雇い手双方の情報をコンピューターで管理、相談窓口は西陣織会館(上京区)に置く。
事業が本格化すれば、大がかりな緞帳などの制作を同組合で引き受けて、バンクの登録者と共同で手がけていくなど、新しい仕事の創出も視野に入れている。
現在、西陣地域に残る織屋は500軒程度。丹後地方と西陣を合わせて職人の数は約4000人と推定されているが、1989年頃と比べると3分の1以下に減っている。同組合は「手をこまねいていてはせっかくの人材が廃れてしまう。染織の文化を守るという観点からも必要な取り組みだ」としている。