和装用絹織物「丹後ちりめん」の生産業者らが、低迷が続く業界を再び活気づけようと、多彩な取り組みを始めている。
今年1月のパリコレクション・オートクチュール(高級注文服)部門で、丹後織物を素材にした服が評判を呼んだほか、若手職人がストールやネクタイなどに仕立てて販売するなど、需要の掘り起こしに力を入れている。

  
幹を大切に 他分野へ展開

丹後織物工業組合(京丹後市)は、丹後ちりめん製品の展示販売会を2017年11月、高島屋京都店(京都市)で開いた。このイベントにはかなりの時間をかけて計画が進められたという。そんな中、同9月末には、府織物・機械金属振興センター(京丹後市)に若手業者ら約15社が参加するグループ「TANGOプラス」のメンバーが集まり、打ち合わせを行っている。
1931年創業の田勇機業3代目社長の田茂井勇人さん(53)は「丹後の織物は産地として成り立たなくなる恐れがあるほど厳しい状況。工場を見学した人には付加価値が高いことを伝えられるが、まず消費者に手に取ってもらう工夫が必要だ」と話す。展示販売会では後染めのパステルカラーのストールなどを並べた。
グループの世話役を務める染織工房「山象舎」の堤木象さん(60)は東京の美術大学を卒業後、草木染作家として京丹後市網野町に移住し、工房を構えた。「当時の丹後ちりめんは白生地だけで、素材は良いのに『染める』『小物を作る』という発想がなかった。ここ数年は、消費者が買う最終製品を手がけようという機運が出てきた」と話す。
パリコレでは、フランスの服飾ブランド「オノラトゥヴュ」が、丹後織物業者8社が提供した素材を使ったコレクションを発表。貝殻をシート状にして貼り付けた生地を細断して糸に加工し、それを使って織る螺鈿らでん織」など独特の技法が好評だったという。同ブランドは来年のパリコレでも丹後の織物を使う意向があり、10月下旬にデザイナー2人が京丹後市を訪れ、織物業者と意見交換した。
振興センターの小西和一郎所長は「丹後ちりめんは白生地という『幹』は大切にしながら、洋装やインテリアなど他の分野にも展開し、産地を活性化してほしい」と話している。


  憂うべき事実
 生産量はピーク時の3% 

「丹後ちりめん」は、丹後地方で生産される高級絹織物の総称。江戸・享保年間の1700年代前半に本格的に生産が始まったとされる。白生地のまま京都市内の卸売業者に出荷されることが多く、染色や縫製を経て製品となる。
丹後織物工業組合の調べによると、白生地の生産量は1973年の920万反をピークに減少し、2016年は31万反とピーク時の3%にまで落ち込んだ。
京丹後市が16年に市内の織物業者を対象に行った調査によると、事業所は1121か所と12年に比べ18.4%減少。操業中の830事業所の従業者数1528人のうち60歳以上が78.5%と全体の約4分の3を占め、高齢化が進んでいる。「後継者がいる」と回答したのは、5.3%の44事業所にとどまった。