きもの業界では長期にわたる需要低迷と将来に対する危機感を募らせているが、昨年来の不況感もあり「先がまったく見えない」状況が続いている。その中で「1企業が頑張っているだけでなく業界全体として抜本的な策を打つ」ことが求められているといえる。
その1つとして業界で和装教育の必要性を訴える動きが出てきた。全日本きもの振興会が高等学校とダイアが国おける和装教育の現状と課題をアンケート調し、今後の和装教育のあり方を5つの提言にまとめた「和装教育ビジョン」を策定したのをはじめ、中学校の和装教育実現を目指す「和装教育国民推進会議」が、東京で和装振興議員連盟役員との懇談会を開催。2年後の新教科書への「和装教育の必修化」に向けて話し合った。

  
和装教育ビジョン策定 全日本きもの振興会
きもの風土記
宮城県支部設立会議(国民推進会議)
きもの風土記
中学校でのゆかた着付け教室
全日本きもの振興会は長年、学校における和装教育の普及活動を続けており、特に全国の高等学校や専門学校、大学(短大)を対象に着装講師の派遣や副素材の作成、提供、指導者の研究会などを行なうとともに和装実習のための型紙の作成と配布、反物など提供してきた。国などの支援を受けながら一定の成果を上げたものの、学習指導要綱の変更や和装教育への関心が希薄なる中次第に取り組みが縮小してきている。
その後「きもの文化」を様々な観点から学ぶ「きもの学」を02年から京都学園大学への寄付講座として実施(大学コンソーシアム京都の単位互換講座)するほか、3年前から「きもの文化検定」を実施するなど和装教育を幅広い視点でとらえてきた。
今回の「和装教育ビジョン」は、高校と大学の和装教育の実態を把握するため、高学と大学を対象にアンケート調査を実施し分析。「和装着装の導入状況」では、平均6割の学校が家庭科で取り上げ、専門学校では9割近くが実施。「被服製作で和服の導入」は、平均6割強が和服を製作題材として取り上げるなど高校、大学とも高い関心を示していることが分かった。これに基づき同会派、すべての生徒・学生を対象とした着装体験の推進をはじめとする提言をまとめた。

  全国で支部設立 和装教育国民推進会議
教師向けの「きもの読本」
一方、和装教育国民推進会議は、小売店、着付け教室、和装関連業者との連携を強めながら平成21年4月中に全国47都道府県支部の設立を目指している。2月には44番目となる鳥取支部と45番目の宮城支部が設立され、3月10日には滋賀県支部準備会が行なわれ、23日には千葉支部が立ち上がる予定だ。
毎年7月の「ゆかた着方教室」と11月の「きもの着方教室」などの施策を中心に振興活動を進めているが、今年も継続する予定だ。同時に各県モデル中学校を選び、各地区の教育委員会と中学校に向けた要望書の作成、授業カリキュラムの提供、講師派遣、教材の格安提供などの支援活動を推進していく。
このほど開かれた和装振興議員連盟との懇談会では日本きもの連盟の小泉清子会長、近藤議長らがゆかたの着方必修化とモデル授業実施などの要望を行なった。
1996年に発足し、全国の中学校でモデル授業を行ってきた「国民推進会議」には昨今、「和服の知識がない」「着付け方がわからない」といった教師からの相談が寄せられている。2009年からは、家庭科教師らを対象にした研修会も実施している。
また、平成26年5月には、授業での指導に役立ててもらおうと、教師向けの小冊子「きもの読本」(22ページ、税込み300円)を作成。きものの歴史や製造過程、着付けのポイントなどをイラストや写真を交えてわかりやすく解説している。同会議の中崎良文・事務局次長は「教師をサポートし、子どもたちに伝統文化を伝えていきたい」と話す。