きもの風土記 きもの風土記
 

700年の歴史を築いてきた秋月城址のすぐそばに、古来より染め材を草木に、博多織の伝統を手機に託す工房がある。甘木市の無形文化財に指定されている小森草木染工房がそれだ。門をくぐると作務衣に身を包んだ工房主の小森久さんが笑顔で迎えてくれた。
終戦直後は「生活の糧として木炭作りで生計をたてていた」という小森さん。その頃山で出会った朝焼けの空や夕焼け雲、紅葉で真っ赤に染まった山々、新緑の森、自然の色は四季に応じて刻一刻と変化する。この美しさは人工の極致を駆使してもかなうものではない。何とかこの色を再現してみたい、との思いはつのる。もともと父の代から博多織の職人であった小森さんは、その道での研究を重ね自分流を完成させていく。
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草木を大釜で煮、煎汁の温度をしっかりと把握しながら、何度も何度も納得いくまで糸を染めつける。自分流の極めつけは、媒染材を一切使わないというところだ。こうして草木100%の煎汁で染められた糸が豊富な岩清水に晒されると、色鮮やかに命を宿すのである。
活気ある機音響かす工場内では茜や藍、よもぎなどで染められた美しい糸が手機に踊り、熟練の手で見事に主人公となっていく。染め人と織り手の息の合ったコンビネーションが、風合いのある帯を創りだしていく。
あくまで自分流を通す小森さんは話す。「温度と染め回数が基本、絶対に媒染材は使わない。こうすれば自然の色が出せ、また色褪せすることはない。
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きもの風土記 武士たちの足音が聞こえてきそうな秋月を後にする前に郷土館を訪ねた。そこにはルノアールやピカソ、横山大観など、東西の巨匠の名画が飾られている。
訪れる人々の心を和らげる街には、清流の音が心地よく耳に響いていた・・。