きもの風土記きもの風土記

日本三景のひとつ「天の橋立」を観光の表玄関に、また「ええにょぼ」(NHK)で脚光をあびた船屋の伊根町(写真)を持つ丹後半島。乙姫や静御前など数多くの夢伝説や民話を今に伝え、それにまつわる神仏があちこちに祭られている。また、全長182bの神明山古墳(丹後町)を筆頭にベールに包まれた700以上もの古墳が点在しているなど、まことにもって神秘に包まれた幻の国だ。そんな国のちりめんロードを構成する町々を駆け足で歩いてみた。
 ※ 取材したのは1995年。今は平成の大合併で、加悦、野田川、岩滝
   の3町が合併し与謝野郡与謝野町となり、峰山、大宮、網野の3町は、
   丹後町、弥栄町、久美浜町と共に京都府京丹後市と改めている。
    

ひと昔前までは多くの養蚕農家を有した福知山を後に、酒呑童子で有名な大江山鞍部を北へ向かって下ると、心地良い機織りの音が耳に入る。天橋立が観光の玄関口ならば、ちりめんロードの表玄関は加悦町だ。草に覆われた「縮緬之道」の石碑を目印に、旧道に入ると昔ながらのたたずまいからは、さらに多くの機音が聞こえてくる。
ちりめんの始祖の一人、手米屋小右衛門の旧家もここにある。
きもの風土記
加悦町をさらに北へと歩くと、野田川町にさしかかる。名前のとおり野田川が町中を貫くように流れるこの町は、宮津市に隣接し観光面では目立たないが、ちりめんの生産高では他町に優っている。また、石川五右衛門の出身地としても有名だ。

天橋立の内海、阿蘇海の西に存する岩滝町は、ネクタイ、風呂敷など広幅を中心に産しており、小物類なども盛んだ。また、朝廷後初めて丹後を支配した一色家の居城、弓木城址を有し、江戸時代には豪商の活躍した地でもある。
  
きもの風土記 宮津と峰山、いわゆる北丹とを結ぶルート312号線が町の中央を走っており、丹後ちりめんの中央加工場や織物会館がある。この町も国道を挟む両旧道に入ると、いくつもの機場がある。

丹後半島の中心に位置するこの町は、日本有数の機業を開くきっかけとなったちりめんの始祖、絹屋佐平治の生誕の地だ。織物組合の本部もここにあり、サービスショップでは商品の全てを求めることができる。一方、ちりめんだけではなく、丹後地方の行政、文化の中心地でもある。

府最大の湖、離湖を有する網野町には比較的規模の大きい織物工場がある。その機は、網野地区、浅茂地区に密集しているが、網野地区西方の浜詰でも機音が響く。