座ぶとんの原型はもともと畳(い草・わら)であったようだ。そういえば時代劇で、床板の間に座ぶとん状の畳を据え、座している場面をよく見かける。
古代の畳は寝具と座具の両方を兼ね、また身分や権威を表す物でもあった。その座具としての部分が座ぶとんの原型ともいえる茵(しとね)へと発達していったようである。鎌倉時代になると、側地(がわじ)に布を使うようになり、江戸中期頃には、綿の輸入の再開と生産技術の向上により、側地の中に綿を入れ、ほぼ現在の形と同様のものが出来上がってはいたが、庶民に普及していったのは、大正時代に入ってからのことだ。

  たかが座ぶとん
 されど座ぶとん
その昔、座ぶとんの役目は座具だけにとどまらず、敵に襲われ、その刃が畳の下から突き出てきた時でも、足の保護や防御をするということも担っていたという。
こういったことから察するに、他家に伺ってご挨拶する際、座ぶとんを外し横に置くということは、「あなたを信用しています」という意味を含んでいたに違いない。茶室の作法に、茶室において座ぶとんを敷かないのは“人を信用する作法”の伝統だといわれてきている。このことが何よりの証拠では・・。
また、人に座ぶとんを勧める際に、あらかじめふたつ折りにしたものを広げながら出すのは、「この座ぶとんには、あなたを傷つけるようなものは忍ばせておりません」、という意思表示の表れでもあった。
きもの風土記
  座ぶとんと 京座ぶとんの違い
さて、ここでは京座ぶとんを中心に述べようと思う。が、さて、京座ぶとんと他の座ぶとんとに違いがあるのだろうか。説明を聞き座ぶとんを観察?すると、なるほどいくつかの違いがあることに納得する。
1つ目の違いは、座ぶとんの中央に打ってある「綴じ」という中に入れられた綿を留める役目の糸だ。京座ぶとん以外のものは、この「綴じ」が十字になっており、京ざぶとんは「三方綴じ」という漢字で言うならば「人」の字になっている。そして、「人」という形の上部が座ぶとんの前方を指しているのだという。
2つ目は、座ぶとんにも裏と表があり、京座ぶとんの裏面は平で、表の面はふっくらと中央が盛り上がっている。
そして、座ぶとんの4隅にある房が3つ目の特徴だ。京座ぶとんの房は、中身に詰めた綿がずれたり、よれたりしないようにと、しっかりとつかむよう固定してある。そして京座ぶとんの房は、本来の役目を果たしながら優雅さをも保持している。
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