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悲しみの日の装い

=昔のお葬式のときの写真を見ると、皆留袖のような重ね着をしているようですが、この頃は見かけません。何故でしょうか。
染抜き五つ紋の黒無地のきものを喪服といいます。
本来式服には慶喪を問わずに重ね着をするのが習慣でした。終戦後、モンペから開放されて式服ぐらいはきものを着ようと思ったとき、焼け出されてしまったり、わずかに残ったものも食料と化してしまいました。きものを復活させようとした業者も、物資の不足で重ね着の喪服を作るまでゆかず、重ね着をしないで売り出す戦法として「不幸が重なる」といって不吉だから一枚の方がいいと理由付けして売り出しました。そのことが着付けも上手にできない消費者に、軽くて経済的と受けたわけです。このことを因として現代では喪服には重ねも比翼も用いなくなりました。

=喪服には光ものを取ると聞きましたが、どういうことでしょうか。
=喪服には指輪、時計、帯留などの光ったもの、艶のあるものは避けるのが常識です。ましてダイヤモンドのような宝石類は一切避けます。
身内を亡くした家族の悲しみは、他人には解りません。ご家族の悲しみの気持ちに沿うように、派手な服装や持ち物を避けようという心からなのです。お化粧などもできるだけ控えめにして、頬紅、口紅のような赤みのものは避けるのが本来です。

=主人の初七日には喪服を着なければいけないのでしょうか。
=四十九日が過ぎるまでの法要は、喪服を着るのが正式です。ご主人の初七日なら喪服を着るのが本当でしょう。昔の人は1年間は喪に服すといって喪服に近いものを着ていました。
初七日の日だけでなく、1週間はできるだけ慎んだ装いでいたいものです。葬儀に参加できなかった人が訪ねてくる場合もあります。

=半喪服という言葉を聞くのですが、どういうことを言いますか。
=半喪服とは、正式の喪服でないということです。つまり喪の略装です。喪服の正式な装い方は、冬なら羽二重か縮緬の黒無地の5つ紋付です。帯は朱子などの黒を用います。正式には無地か柄は喪にふさわしい花柄などは避け、紗綾形などの有職文様が望ましい。
帯揚、帯締は、白または黒で、綸子、縮緬、いずれでもかまいませんが、帯締は綸子や羽二重の丸ぐけが正式ですが、最近では黒の組紐を用いる傾向にあります。夏は絽の喪服に絽の織物の喪の帯を用います。
それに対して色無地の紋付のきものに、帯や小物類は正式なものを用いたものが半喪服です。色無地であれば何でも良いと思われがちですが、半喪服の色はネズミとか濃い紫など地味な色合いを用います。注意しなければいけないことは、きものが略装なのですから、帯や小物類は正式なものを用います。

=法事の日の装いについて教えてください。
=法事にもいろいろあります。例えば1回忌、3回忌、7回忌というように。喪が薄くなる度に着るものはこだわらなくなります。むしろ、いつまでも祖先の霊を慰めてくれることができるほど、子孫が栄えている、おめでたいとの考え方もあります。
1回忌、3回忌のように新しい法事には、半喪服か黒の紋付羽織の略装がいいと思います。黒の紋付羽織を着るからといっても、赤みの入ったものは酒、できるだけ地味な小紋や無地、お召しなどを用います。