きもの風土記
  

  
林芙美子原作「浮雲」の舞台となった屋久島は、類の無い標高差を有すると共に、年間8000_を超える降雨量や台風を恵みに変え、北限とする植物群約120種、南限とする植物群約140種、固有植物40種を共存させながら、今もしたたかに成長し続けている。
海岸付近ではガジュマルやアコウといった南国特有の植物が奇怪な格好で絡みあう。標高100bあたりからはカシやシイなどの広葉樹が森を形成。500bでは針葉樹が姿を現す。標高1600bを超えるとヤマシャクナゲなどの高山植物が顔を出し、山頂付近の高層湿原は、その性質において釧路湿原と同じくしている。
動物相のミステリーをも含め、謎を含んだ自然の宝庫だ。
  


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きもの風土記


  
厳密に言うなれば屋久島には、3種類の杉が存在する。中でも「屋久杉」の名で親しまれているのは、天然で樹齢100年以上のものであり、それに満たない若いスギは小杉と称されている。また、植林されたものは地杉と呼ばれ、それぞれが区別されている。
そんなスギ群の森でひときわ存在感を放っているのが「縄文杉」。樹齢7200年とも言われ、根回り43bにも及ぶ威風堂々には圧倒される。が、学識者の説や地質捜査による茶々?が入り、その長寿のほどは定かではない。
例えば1984年の環境庁の地質調査がそれだ。この調査により6200年前の火砕流跡が発見される。それによれば、屋久島の北西約50`の島が大噴火、発生した火砕流が屋久島を直撃し、高熱で動植物を焼きつくしたというのだ。鳥類のお腹を借りられないのに現存する動物とともに、縄文杉の年齢ミステリーである。
いずれにせよ、幹の中を空洞にして、つまり内部を腐らせてまで、必要なところに栄養を集中させて成長していく知恵を兼ね備えた生命力には、驚くほかない。