きもの風土記きもの風土記
本場結城紬とは

結城紬の特質は糸質強固、染色堅牢、その製法においては精緻で雅趣に富む。そんな結城紬も最初から現在のようにカラフルではなかった。江戸時代までは無地が多く、その後、信州上田から柳條(しま)の技術が導入され縞全盛の時代がしばらく続く。そして、19世紀後半になると琉球絣に昭和に入ってより斬新な絣模様が普及していく。同時に柄も多色になり、本来藍を旨とする結城紬も、現在では、部分的に染料を刷り込んだり、化学染料を用いて対応している。が、意匠の改善以外は頑なに伝統の技を続けていることを付け加えておこう。
1反の製作日数は、普通のもので6ヶ月、絣柄の複雑な高級品となると1年以上の時間を要するという。それもそのはず、その製作工程が40にも及んでいるからだ。着るほどに、洗うほどにその風合いを増していく結城紬。どれをとっても一見同じように見えるが、その数多くの工程の一つ一つに携わる手の温もりが、紬への愛情となり、機械にはない異なりを見せてくれる。昭和51年に伝統的工芸品に指定された結城紬、その工程の中にも国の重要無形文化財となっている三つの技法がある。手つむぎ、手くくり、居座機による平織がそれだ。下記と重複するかもしれないが少し詳しめにふれておこう。
  
《紡ぐ》 お湯で煮て柔らかくした繭を、指先で穴をあけ裏返しにして洗う。同じように4〜5個重ねると袋状の真綿ができる。これに適度な湿り気を与えながら細く均等に糸を引かなければならない。大変な熟練が要することはいうまでもない。きものに必要な糸量は、経緯合わせて30`bを紡ぐ必要があり、約2ヶ月かかるという。
《括る》 できあがった糸を絣柄付けのため木綿糸で括っていくが、染料をつけた時に木綿は締まり、絹は膨張するという性質を利用したものだ。これは歯と指先を使うが、かなりの力を要するため男の仕事となっており、約13万ヶ所括るのでこれも何ヶ月もかかる工程だ。
《居座機》 この機は経糸を織子の腰にあて紐で結び付けて織っていくが、織子が絣を合わすために前にかがむと経糸も弛み、緯糸を打ち込む時には体を後に倒して経糸をピンと張る。織子が休む時は糸も休む、ということは「真綿から紡いだ糸に合った織り方になっている」ということだ。これも2〜4ヶ月かかる仕事だ。これらのことが日本最古の紬をして人を魅せる所以なのだろう・・・。
   

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